2012/06/15

米中関係は相互依存が基本。日本は主張を。


米中は相互依存、日本はハザマ

1  アメリカのアジア進出は紳士的

1840年にイギリスは、アヘン戦争をおこし、中国に不平等条約を押しつけました。
欧州の列強も負けじと中国を食い物にしました。

日本も1894年の日清戦争により、帝国主義の仲間に入ります。

アメリカのアジアへの進出は、1898年の米西戦争後です。
「門戸開放、機会均等」を掲げて、カッコよく、やって来ました。
アジアへ登場したばかりで、悪いことをするヒマがありませんでした。

中国にとっては、アメリカは欧州列強、日本を牽制するための熱烈歓迎国でした。

米・中は、連携して第2次大戦で日本を倒しました。


2 ヘンリー・ルースが日本たたきに米国世論を誘導

ヘンリー・ルース
ヘンリー・ルース(Henry Luce、1898- 1967)は、「タイム」「ライフ」「フォーチュン」を創刊し、米国世論を誘導し、日本たたき政策に大きく貢献しました。

ヘンリー・ルースは、中国生まれで、父は宣教師です。

    「中国を日本から救う」

ことを使命にします。

ドラッカー、トフラー、ベル、ガルブレイスなどを育てました。

日本は、ヘンリー・ルースとの情報戦に敗れた、とも言えます。

3 中国人はアメリカが好き

中国語では、アメリカは「美国」という好字です。

米中は、会議のテーブルをたたいて、はげしく口論しますが、取っ組み合いはしません。
アメリカが人権でも、なんでも非難すると、しっかり返します。
口喧嘩を楽しんでいるところもあります。

中国人は基本的に大陸国のストレートなアメリカが好きです。
産官勢力の中心は、5万人以上の留美派(りゅうびは、美国留学派)です。
留美派にとって日本は眼中にありません。
    【※】中国語で、アメリカは「美国」(美しい国)です。

中国は大中華圏との連携があることも留意する必要があります。
台湾、香港、シンガポール、華僑(4千万)です。

          【cf.】寺島実郎、他

4 中国を国際舞台へ

中国を、なんとしても、世界の建設的な参画者へと招き入れたいものです。
メンバーになると行儀がよくなります。
WTOがいい見本です。

覇道ではなく、孫文の王道を歩くよう執拗な働きかけが必要です。

中国は、30年前、20年前、10年前より国際社会に従うようになってきてます。

日中、日韓、日台の関係に、クサビを入れたがる勢力がいます。

すぐ乗っかる愛国者がいます。


アセアンをまねて、日中台韓北のユルーイ東アジア連携も必要です。


5 日米関係は米中関係の裏返し


1  米中関係  X日米関係  〇
2 米中関係 〇
日米関係  X

米中関係が悪いと、日米関係はいい、
米中が今のように、そこそこうまく行っていると、日本は無視され、日米関係は悪い、
という図式があります。

「日米同盟で中国を制御する」ことはできません。
米中関係のほうがはるかに濃密な関係にあります。

中国は、植民地状態から、辛亥革命(1911年)、中華人民共和国(1949年)、香港返還(1997年)に至る過程で、自立自尊の道を歩んでいます。


日本は、米軍の占領状態にあります。


6 日本は主張を


もの言わない、主張しない日本は、米中の周辺国です。

『キッシンジャー回想録 中国』に日本はほぼ登場しません。

日本が、対米協調を踏まえて、対米自立してこそ、
中国は、そして世界は、日本を認めるでしょう。

アメリカへの過剰依存、過剰期待をやめる時です。
世界は日本の動向をじっと冷静に見つめています。

そのためには日本は米軍基地を、粘り強く、段階的に縮小すべきです。
ドイツは、冷戦終了後、個別条項を改定しています。