2014/09/17

時論公論 「"女性が輝く社会"とは」。NHK

時論公論 「"女性が輝く社会"とは」。NHK 2014年09月16日


・働き方や考え方、意識の変革があって、女性の社会参画が進む。
・就労を希望しているのに働けない女性は、342万人いる。
日本はほかの先進国に大きく水をあけられて136カ国105位
・終身雇用、正社員、男性中心の画一的な働き方のモデルは限界を迎えている

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
以下抜粋。
(城本)
65歳以上の高齢者は、3296万人。日本の総人口の4分の1にあたります。
j140916_mado.jpg





           
  
(岩田)
会議を通して安倍総理大臣の女性政策にかける意気込みを感じた。

安倍総理は、海外出張する度に、訪問先の女性たちと会合を開き、話を聞くとともに、会議の参加者を発掘したり、直接、出席を働きかけたりして、準備に力を入れてきた。
IMFのラガルド専務理事が「日本はOECD加盟国のなかで、女性の労働参加率は低く、男女の賃金差も大きい」と指摘した
(岩田)
安倍総理としては、女性の活躍のムーブメントを一気に高めたい狙いなのだと思う。
それは、女性政策を、金看板「アベノミクス」の柱と位置づけているから。
生産年齢人口の減少によって、低下している労働力を、女性の労働力で補い、経済成長に繋げる。
つまり女性が高い能力を発揮→日本は再び成長軌道を描く
実際に、日本の女性労働率が男性並みに上昇すれば、GDP=国内総生産が大幅に上昇と言われている。
成長戦略を成功させるためには、「女性の活躍」を実現できるかが鍵だといっても過言ではない。
(岩田)
就労を希望しているのに働けない女性は、342万人いる。
働くことを希望しているのに働けない人と、実際の就業率には差があって、特に30歳代が働く意欲と現実が結びついていない
グラフを見て下さい。
j140916_01.jpg






日本の女性の労働力率、つまり就労を希望している人の比率を年齢順につないだもの。
日本は、「M字カーブ」を描いている。

安倍内閣が女性政策を打ち出してから→女性の就業者数が、トータルで53万人増え、「台形」に近づいた。
ただ、現実にはまだまだ厳しい。
日本では働く女性の約6割が、第一子の出産を機に離職、20年間変わっていない。
 
(道傳)
私は雇用機会均等法の初期の世代だが、その後、仕事を辞める選択をせざるを得なかった女性も多い。結婚や出産を機に6割もの女性が仕事を辞める選択をしていることは、育児と仕事の両立が難しく、「キャリアか結婚か」「子育てと仕事をどう両立させるのか」など厳しい選択を「女性だけ」が迫られた結果、辞めざるを得なかった事情がうかがえる。
 

(道傳)
安倍政権は「2020年までに指導的な地位にある女性の割合を30%に」を掲げるが、あと6年しかない。間に合うのか。雇用機会均等法の初期の世代、1980年代後半に雇用された女性たちの母集団が小さいことを考えると、「指導的な地位」予備軍の数がそもそも少ないことが課題。
j140916_02.jpg







世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ報告書、つまり経済や政治などの分野で男女にどのような格差があるのか、という統計が出るたび、海外では「日本ほど進んだ国でどうして女性の社会進出は進まないのか」と話題になる。表にあるように、日本はほかの先進国に大きく水をあけられて136カ国105位。なぜか。日本は識字率や寿命で1位にも関わらず、管理職に占める女性の割合や、国会議員に占める女性の割合が100位台と突出して低く、総合的な順位が押し下げられていることがわかる。
 
<アベノミクスはウーマノミクス?>
j140916_03.jpg






(道傳)
経済分野で女性の活躍を進めるには労働時間の短縮や働き方についての考え方を変えることが必要、など制度・社会のしくみだけでなく、働き方や考え方、意識の変革なしには女性の社会参画は進まないことを示すものとなった。
 
<「女性が輝く社会」実現のカギは>
(道傳)
内閣府の調査で「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」といういわゆる固定的な役割分担について聞いたところ、賛成の割合は増え51.6%。男性は外で仕事、女性は家庭を守るべき、という考え方が根強いことがわかる。
j140916_04.jpg






まさに、これまであたりまえと思っていた働き方や男女の役割分担意識など、働き方、考え方を変える時を迎えている。キーワードは「ダイバーシティ」。多様性と訳される。終身雇用、正社員、男性中心の画一的な働き方のモデルは限界を迎えている
たとえば長時間労働。労働時間が長い割に労働生産性でみると、日本は先進7カ国中、19年連続して最低を更新している。求められているのは、女性を特別扱いする「女性活用」ではなく、特別扱いしなくても普通に働けるよう、長時間労働、生産性など働きからの根本から見直し、多様な働き方ができる社会を実現させること。それこそが「ダイバーシティ」を大事にした社会と言える。
 
(岩田)
j140916_05.jpg






例えば、経済産業省は、「ダイバーシティ経営企業100選」として「多様な人材の能力を発揮させることで、成果を上げている企業」を平成24年度から表彰。
また、女性の活躍推進に秀でている企業を、投資家にとって魅力ある銘柄として紹介する「なでしこ銘柄」の選定も行っている。こちらは男性の育児休業取得率も基準にしていて、ダイバーシティ経営企業100選」よりも、厳しい基準だ。
 
(城本勝 解説委員 / 道傳愛子 解説委員 / 岩田明子 解説委員)

0 件のコメント: