2015/05/19

悩み分かち合う居場所を 若者が手づくりのカフェ。桶川市

【3-1】 (埼玉新聞社、文と写真、久光真実)を引用編集


和やかな空気が流れる「HIBIKI Cafe」で作業するスタッフ

 埼玉県桶川市の住宅街に4月、小さな喫茶店「HIBIKI Cafe」がオープンした。
不登校を経験した若者たちが営み、同じような疎外感に苦しむ人たちの居場所にしようとしている。

 運営するのは県立浦和商業高校の卒業生で、太鼓集団「 響 (ひびき) 」のメンバー5人。
大半のメンバーが通っていた定時制は、2008年に廃止されたが「悩んでいる若者の居場所をつくろう」と準備を進めてきた。

 店舗は同高の元教諭が所有する住宅を改装。
壁一面に数百冊の本を並べた本棚が並び、10人以上が座れる円卓や、勉強をできるようにと机も備え付けられている。

 スタッフの 飯島学 (いいじま・まなぶ) さん(30)は、中学に通うことがほとんどできなかった。
しかし、同高定時制で通学できるようになり、生徒会長まで務めた。
「不登校経験者として手助けし、当事者と支援したい人がうまく関われる場所にしたい」と話す。

子どもの不登校に悩む親からの問い合わせは相次ぐ。
スタッフと話し込んだり読書に没頭したりする人も多く、ほかの喫茶店とはひと味違う雰囲気だ。
ホール責任者の 森 (もり) なつ子さん(20)は「誰もが落ち着ける場所になれば」と静かに見守る。

 飯島さんの妹、 裕美 (ひろみ) さん(28)は、カフェを訪ねてきた不登校の子どもから「『響』の公演を見て何かが変わった」と言われ「自分にもできることがあるんだと実感した」と話す。

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