2015/06/10

語り部と神話の世界へ。お茶とともに楽しむ。松江市美保関町

【20-3】(山陰中央新報社、文と写真・鹿島波子)  引用編集

訪れたお客さんと会話を楽しむ店主の松本明代さん。2014



江戸時代に北前船の寄港地として栄えた松江市・美保関町(みほのせきちょう)は、島根半島の東端に位置する。
美保関港の近くにある美保神社は、出雲神話の「国譲り」にちなむ神事が伝わり、全国にある「えびす社」の総本社として海運・水産関係者に敬われてきた。

 同神社の参道沿いにあるのが、神話語りの施設を併設した喫茶店「クリフネ」。
経営者の 松本明代 (まつもと・あきよ) さん(44)は、神話解説やガイドを行う「出雲三大神話 語り部の里」のメンバーとして活動し、2013年11月に「誰もが集まることができ、神話に触れることができる空間を作りたい」と、念願の店を開いた。

 店名の「クリフネ」は、美保関港で毎年12月3日に行われる「 諸手船神事 (もろたぶねしんじ) 」で使う「 刳舟 (くりぶね) 」に由来。
カウンターを含む23席の店内では、お茶を楽しむお客さんに、松本さんが地元に伝わる神話などを紹介する。
また、事前に予約すれば店の奥にある約20人収容の部屋で、語り部の里のメンバーから、映像を交えながら出雲神話をじっくり聞くことができる。 

 島根県出雲市の出雲大社は、60年ぶりの「大遷宮」を迎えている。
"両参り"は御利益があるとされ、美保神社にも多くの人が押し寄せ、13年は前年に比べ60%余り増え、34万人以上が訪れた。

 美保関港の対岸は、鳥取県境港市。
妖怪のブロンズ像が並ぶ「水木しげるロード」で知られ、今や山陰を代表する観光地だ。
同市観光協会での勤務経験もある松本さんは、神話と妖怪を連携させることで「地域の活性化、観光振興の手助けができたら」と意気込む。


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「クリフネ」は、神話を通じて地元の人と触れ合うという新しい要素を加えた。

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