2017/12/24

インドネシア・ジョコ大統領、幹線鉄道「日本と建設」有力

インドネシア <まとめ>
  • 人口 2.6億 
  • 平均年齢 29歳
  • GDPは、2050年には中国、米国、インドに次ぎ第4位に
  • 宗教はほぼ(やわらかい)イスラム教
  • 日本でも イスラム教受け入れ体制を
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インドネシア大統領、幹線鉄道「日本と建設」有力 
「経済開放、世界に重要」

2017/12/23  nkを抜粋編集

 【ラジャアンパット(インドネシア東部)=鈴木淳】インドネシアのジョコ大統領(56)は日本経済新聞の単独インタビューに応じ、政治・経済の中心であるジャワ島の幹線鉄道について、日本と協力して建設したい意向を表明した。建設方式や資金調達の詰めを急ぎ、2018年中の着工をめざす。成長著しい人口世界4位の大国の指導者として「経済開放は世界にとって重要だ」とも語り、米国などで高まる保護主義の機運をけん制した。

 首都ジャカルタと第2の都市スラバヤを結ぶ幹線鉄道、ジャワ島横断鉄道の建設は、インフラ開発を重視するジョコ政権にとって最重要プロジェクトの一つだ。協力相手について、ジョコ氏は初めて「日本だ」と明言。日本との協力による建設が有力となった。

 事業費は5千億円を超える可能性がある。両国はこれまで協力に向けて協議してきたが、建設方式では既存路線の改修を検討する日本側と、全くの新線建設などを探るインドネシア側の間で溝があった。インドネシアの財政負担を巡っても食い違いがあった。ジョコ氏は「深く真剣な協議を続けている」と強調。日本との合意を急ぎ、早期の着工を目指す。

 インドネシアは同国初となる高速鉄道建設で、日本と先行して協議しながら、中国との協力を選んだ。だが、ジョコ氏は協力相手が中国一辺倒にはならないようにすることを重視している。中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」に関して「インドネシアの利益にかなう限りにおいて関心がある」と語った。


 インドネシアは人口2億6千万人を抱え、新興国の代表として20カ国・地域(G20)の首脳会議などに参加する。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の予測では2050年に経済規模で中国、米国、インドに続き、日本を上回る第4位に浮上する見通しだ。

 ジョコ氏は「世界経済をよりよくするために、自国だけを保護するのではなく、各国は協力し合うべきだ」と訴えた。トランプ米政権の「米国第一」に代表される保護主義的な風潮を懸念する。

 ジョコ氏は自国のインフラ開発などで外資の参入を求めるほか、世界の自由貿易体制づくりにも関与する。日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など16カ国が交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)について「18年中の妥結を目指したい」と述べた。環太平洋経済連携協定(TPP)に関しては「関心はある」と述べながらも「米国離脱の影響を検討したい」と慎重な姿勢をみせた。

 米国がイスラエルの首都をエルサレムと認定した問題では「インドネシアは常にパレスチナ側に立つ」と述べた。米国を直接非難することは避けたが、イスラム教徒の人口が世界最大の国として国連総会などで認定の撤回を強く求めている。

 ジョコ氏はジャカルタ州知事を経て14年10月に大統領に就任。任期5年の4年目に入った。インドネシア東部のラジャアンパット(西パプア州)で22日に日本経済新聞の取材に応じた。世界有数のサンゴ礁があるダイビングスポットで知られ、バリ島に次ぐ観光地候補としてジョコ政権が観光開発を進めている。

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外資進出、手続き簡素に インドネシア大統領 
18年春の訪日に意欲

 【ラジャアンパット(インドネシア東部)=鈴木淳】インドネシアのジョコ大統領は日本経済新聞の取材に対し、政権が重視するインフラ開発について「外資の導入が必要だ」と強調した。中央と地方の許認可窓口を一本化し、外国企業が投資しやすい環境を整える。経済成長を持続し、2019年の大統領選挙での再選をうかがう。


 ジョコ氏はインドネシアの投資環境について「構造改革を進めてきており、これからも進める」と語った。世界銀行がビジネスのしやすさを評価したランキングでは、ジョコ氏就任前の120位から17年には72位に上昇し、中国を抜いた。

 新たな環境改善の具体策として、ジョコ氏は「中央政府の許可も地方自治体の許可も1カ所で申請できる窓口をつくる」と明らかにした。18年3月までに設ける。「1度申請するだけで後はすべて私たちが面倒を見る」と語り、地方での手続きが滞らないように責任を持つ考えを示した。

 インドネシアでは1998年に強権的だったスハルト政権が崩壊したあと、地方分権が進んだ。民主主義が定着した一方で、インフラ開発の許認可などの権限が各省庁や地方自治体に分散し、なかなか許可が下りない状態が続いてきた。

 ジョコ政権は50兆円規模の巨額のインフラ開発を進めている。国の資金だけでは間に合わず、外国企業を含む民間からの投資が欠かせない。

 ジョコ氏はインフラで外資の参入を求める一方、国内の中小零細企業への配慮もにじませた。通商交渉では「国益にかなうかが重要だ」と強調。「国内問題を解決したら国際社会でもっと役割を果たす」とも語り、地域格差の是正など国内問題の解決を優先したい考えを示した。

 地方振興のために観光開発に力を入れる。世界的な観光地のバリ島以外にも、ニューギニア島西部の沖合にあるラジャアンパット諸島や、スマトラ島北部のトバ湖などを開発して外国人客を呼び込む。ジョコ氏は「10カ所の新たなバリ島をつくる」と意気込む。

 インドネシアは年5%程度の経済成長を維持。外国からの直接投資も17年7~9月期で前年同期比12%増と伸びている。

 ただ、投資誘致ではベトナムやフィリピンの追い上げも急だ。国際協力銀行(JBIC)が日本の製造業を対象に有望な進出先を聞いた調査では、インドネシアは16年の3位から17年は5位に後退。納税を含む法運用が不透明との指摘が出たとされ、ジョコ政権は司法制度改革も迫られる。

 ジョコ氏は軍人や名門の出身でない同国初の庶民派大統領。現場主義を貫き「歴代大統領で最も地方を訪れている」(大統領府幹部)とされる。

 19年の大統領選出馬については「国民が望めば(出馬する)」と答えた。世論調査での支持率は40~60%程度に達し、対立候補とされるスハルト元大統領の元娘婿プラボウォ氏を上回る。優位を保つには海外から投資を引き寄せ、成長を持続することが欠かせない。

 「安倍晋三首相は最も親しい首脳だ」。ジョコ氏に親しい外国首脳は誰かを尋ねたところ、オーストラリアのターンブル首相とともに安倍首相の名を挙げた。

 日本とインドネシアが国交を樹立して60周年に当たる18年に「日本を訪問する」と明言した。時期については「調整中だが、3月か4月に行きたいと考えている」と述べた。ジョコ氏は「日本とは海洋分野や人材育成の面でさらに協力していきたい」と語った。

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ジャワ島横断鉄道 所要5~6時間に半減
2017/12/24


▽…インドネシアの首都ジャカルタがあるジャワ島の東西を貫く距離750キロメートルの幹線鉄道のこと。すでに国鉄の路線があるが、大幅な改修や新線の建設によって、所要時間を現在の約11時間から5~6時間に半減させる計画づくりが進んできた。

▽…ディーゼル機関車の利用を続けてコストを抑える案のほか、電化して速度を上げる案もある。建設資金は日本は円借款を軸に検討し、インドネシアは政府負担の少ない官民パートナーシップ方式(PPP)を主張している。

▽…同じジャワ島の高速鉄道計画では、インドネシアが2015年、日本案から中国案に乗り換え、両国関係が一時冷え込んだ。同島ではハブ港湾のパティンバン新港など日本が協力する大型インフラ開発も進んでいる。

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